前回の美術館紹介からほぼ一年が過ぎてしまいました…。反省。
気を取り直して、5館目いきたいと思います!
施設名:浜松市秋野不矩美術館
場所:浜松市
設計:藤森照信
今回は、前回に続いて藤森照信さん設計の秋野不矩美術館です。浜松市天竜区にあり、この土地出身の秋野不矩という画家のための美術館です。
この建物は丘(崖)の上にあるのがまず一つ目の特徴で、美術館へのアプローチは結構長い坂道を登っていくのですが、途中で美術館を見上げるような形になり、すごい所に建てたなぁという感想が自然と出てくると思います。なんだか崖と一体になったような感じで大地に根付いているという印象があります。一般的には建築は平らな土地に建てます。たまに、傾斜地もありますが、平らにするのが大変です。なので、この建物は建てるまでが相当大変だったと想像できます。
外観は、ねむの木美術館とは違って、直線的(笑)。ただ、鉄平石の乗った屋根を持つ四角い建物二つが45度の角度で、塗壁の四角い建物を挟み込むように組み合わさっていて、特徴的です。
モルタルに藁や土を混ぜて作った塗壁の表情が良いですね。また鉄平石の屋根の下は杉板を貼った壁になっていて、経年変化した風合いも面白いです。土、石、木といった自然素材だからこその味わいだと思います。
あと、塗り壁の中の窓の感じが何とも言えずいいんです。小さい正方形が9個で大きな正方形窓を作ってい入るのですが、それが均等に配置されていて心地よさを感じます。
エントランス脇はちょっとした展望台のようなテラスになっていて、アプローチを見下ろす形で景色を楽しめるようになっています。
それから、久々に訪れたら、新しい茶室が敷地内に建っていました!中には入れませんが、相変わらず面白い形をしていて目立ちます。
そして内部。
ホールは、屋根の形がわかる吹き抜け形式。壁は藁入りの漆喰で、バーナーで焼いた柱と梁が架かっています。古民家のような感じがありますが、壁や天井が白く高窓もあいているので明るいです。
1階展示室は、靴を脱いでみる仕組みになっていて、床の素材感も感じることができます。
写真撮れないのですが、一番大きな絵が飾られている第2展示室がやっぱり最大の見どころかと。 床が大理石で仕上げてあるこの四角い白い空間は、展示されている絵の雰囲気も手伝って静謐な感じが漂っています。天井からのトップライトは神々しく、ねむの木美術館の白い空間とはまた違った柔らかさを感じます。
あと、2階の展示室への動線で階段を上りますが、その空間も面白いです。
ここもトップライトからの光が格子の天井から吹き抜けの壁におちてきます。壁はコンクリートの打放で杉板の型枠で化粧仕上げしてあります。吹き抜け+階段は建築を面白くしてくれる手段ですね。
藤森さんの建築については、ご自身で本を沢山出されているので、興味があればそちらを読んでみるのもありかと。秋野不矩美術館の話も載っています。
最近、長野県にオープンした宿泊施設も気になるので、いつか行ってみたいと思います。
それでは。
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